薔薇園を約束したわけじゃないBlank Blackのサークルページも兼ねるかもしれない

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2006-09.02 Sat大塚駅[未分類]

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 デカい墓でもあるのかな、と彼女は言った。
「知らないけど、名前通りに出来てるものなんてそんなにはないでしょ。九州だって九つ県があるわけじゃないしさ」
 僕の言葉も聞かず、彼女はそこに誰の墓があるのかを真剣に考えていた。
 馬鹿だな、と僕は笑う。彼女はいつもこんな調子だ。僕よりも早く生まれたくせに、変なことばかり言っては僕を困らせる。
「ほら、変なことばかり考えてないで早くご飯を食べなよ」
 彼女は小さな頭を上げて僕を見る。もちろん僕の言葉なんて聞いてない。
 きっと大きな大きな墓なんだろうな、と彼女は言う。皆死んだあとはそこに入って幸せに暮らすんだ。私も君の言葉がわかるようになるんだ。そうして幸せに暮らすんだ。
「馬鹿なこと言ってないで早くご飯をお食べよ」
 彼女はその日も食事を摂らなかった。しなやかな筋肉に覆われていたその体が、少しずつ痩せていく。
 一週間後に彼女は死んだ。
 彼女の死体を抱えて駅に向かう。目指すは大塚駅だ。
 途中、おや、という声がした。寿命かね、と彼は言う。十年生きれば充分だろうけれど。
「よく生きてくれたと思います」
 あんたはわしらの言葉がわかるのかい。
 頷く。
 そうかい、と彼は笑う。あんたは今からどこに行くんだろうね。わしらはあんたの言葉がわからんから、わかるわけもないが。
 地面を指差す。
 埋めるのかい。
 頷く。
 それはご苦労なことだ。
「別に」
 だからわからんというに。
「僕は彼女を愛してますから」
 わからないよ。
「それでは」
 もう行くのかい。
「早く幸せになって欲しいので」
 わからないよ。
「わかればいいんじゃないんです。要は、満足出来るかどうかです。彼女の幻想のように。僕の妄想のように」
 わからない、と、もう一度だけ猫が鳴いた。
 僕は駅に急ぐ。
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